米Ateios Systemsは、電子ビームで電池電極を硬化する製造ラインを稼働させた。
従来の溶剤と熱乾燥炉を使う工程を、
電子ビームで固まる材料に置き換える技術だ。
同社は、試作期間の短縮や電極性能の向上を示しており、
新しい電極材料と製造方法を組み合わせて顧客への供給を進めている。
年間50MWh分の電極製造能力を持つラインが稼働
Ateiosは2026年10月1日、
米インディアナ州ニューベリーの拠点に、
年間50MWh分の電池電極を製造できる塗工ラインを設置したと発表した。
同社によると、ラインはすでに稼働しており、
「RaiCore」ブランドの電極を、
民生用電子機器、防衛、航空宇宙、モビリティ向けに出荷している。
今回稼働したのは、電池を構成する電極の製造ラインだ。
電極の供給に加え、顧客が電池セルに組み込んで評価するための支援も行う。
製造技術の開発から、用途に応じた電極の試作・供給へ進めている。
溶剤を乾燥させる工程を、電子ビームによる硬化へ
新ラインには、同社の製造技術「RaiCure」が使われている。
従来の湿式塗工で用いる溶剤と熱乾燥炉に代わり、
電子ビームで硬化する材料を採用する方式だ。
液状の材料を塗布した後、電子ビームを照射して電極を固める。
同社の説明では、照射によって材料が架橋し、
高分子の網目構造を形成する。
これにより、電極内の粒子同士を結び付けるとともに、
集電体への接着を支える。
溶剤を蒸発させて乾かす工程から、
塗布した材料そのものを硬化させる工程へ変える点が特徴だ。
企業が示す効果──試作期間の短縮と電極性能
同社によると、塗工の試作は内容に応じて2〜4週間で完了でき、
一般的に3〜6か月を要する試作プログラムの期間を短縮できるとしている。
主要サプライヤーの材料を在庫として確保しており、
初回の試作前に生じる10〜12週間の材料調達待ちもなくせるという。
電極性能については、結着剤にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用いた
従来の電極と比べ、RaiCureの結着剤を1%使用した電極で、
電子伝導性が2倍になると説明している。
また、4.2Vを超える動作電圧での結着剤の安定性により、
同じ活物質から得られる比容量を20〜30%高められるとしている。
比容量は、単位質量当たりに取り出せる電気量を表す。
同社CEOは、既存の試作用設備に技術を組み込み、
GWh規模の塗工機と比べて設備費と運用費を5分の1に抑えられると述べている。
これらの期間、性能、費用に関する数値は、
同社が発表した比較や説明に基づくものだ。
Kodakの塗工技術と組み合わせて供給へ
Ateiosは、Kodakとも電極製造で協業している。
両社は2026年3月、RaiCoreの対応を、
コバルト酸リチウム系のLCO、リン酸鉄リチウム系のLFP、
ニッケル・マンガン・コバルト系のNMCへ広げたと発表していた。
当時の発表では、顧客のフィードバックを反映した配合の改良と、
既存の電池製造ラインとの適合性を説明している。
Kodakは、精密かつ高速な多層塗工の技術を提供する。
電極材料の開発と、材料を安定して塗る製造技術を組み合わせる構成だ。
また両社は、LCO、LFP、NMC、黒鉛のRaiCore電極について、
第三者試験で総有機フッ素(TOF)が分析上の報告限界である20ppm未満だったと発表した。
これを、いわゆる「永遠の化学物質」と呼ばれるPFASを含まないとする
検証結果として紹介している。
3月時点では、LCOとLFPの電極が電池メーカーの試験プログラムで使われていた。
今回は新たなラインの稼働と出荷が発表され、
顧客が実際に電極を入手し、評価するための供給体制が加わった。
顧客が自社の電池で試せる仕組み
電極の製造方法が変わっても、
採用する側には、自社の電池構成や用途に合うかを確かめる工程がある。
Ateiosは、Battery Innovation Centerや提携するセルメーカーを通じて、
顧客が自前の製造ラインを持たなくても、
セルの組み立てと評価を行える支援を用意している。
同社は、試作時の配合とセル評価を、
Kodakなどの受託塗工事業者を通じた生産につなげるとしている。
新しい電極を試す段階と、供給量を増やす段階を、
協業先の設備も使って結び付ける取り組みだ。
LC Signalの視点──材料と製造工程を一緒に変える
今回の技術では、電子ビームで固まる材料と、
それを塗布・硬化する工程が組み合わされている。
電極の配合だけでなく、製造設備でどのように加工するかまで含めた開発だ。
Kodakとの協業も、材料の性能を実際の生産へつなげる役割を持っている。
顧客にとっては、電極を入手し、
自社のセルに組み込んで試せることが採用への入口になる。
同社が説明するように塗工の試作を2〜4週間で進められれば、
配合や仕様を変えて比較するサイクルも短くできる。
材料の開発、塗工、セル評価をつなぐ体制は、
新しい製造方式を顧客が試し、採用へ進めるうえでも大きな役割を担いそうだ。
主要情報源
-
Ateios Systems発表(2026年10月1日、GlobeNewswire配信):
Ateios Brings 50-MWh Electrode Coating Line Online,
Ships Next-Gen RaiCore Electrodes
-
Ateios Systems・Kodak発表(2026年3月23日、Nasdaq掲載):
Ateios Systems and Kodak Expand RaiCore Platform
to Major Battery Chemistries and Earn PFAS-Free Verification
本記事は2026年10月3日時点の公開情報に基づき、
AIを活用して作成しています。
発表日は各公開ページの日付表記に従っています。
製造能力、稼働・出荷状況、試作期間、性能および費用の比較は、
企業の発表に基づくものです。
第三者試験の結果も、企業が公表した内容を記載しています。
「LC Signalの視点」は、
公開情報を踏まえた本メディアの考察です。